院長ごあいさつ


教養教育院長
武山 良三

大学は高度な専門的知識や技術を身につける場です。厳しい受験勉強を終えられた学生の皆さんも早く専門的な講義や実習を受けたくてウズウズしていることでしょう。それだけに1年次の大半が教養教育に割かれることにガッカリしているかもしれません。では、なぜ大学で教養教育を受ける必要があるのでしょうか?

まずは、幅広い知識を身につけることが、専門を学ぶ上でも効果的であるということが挙げられます。それぞれのジャンルにはすでに数多くの研究実績があり、その分野だけの学修では革新的な成果を生み出すことが難しくなっています。これまでにない観点による独創的な研究には、他領域の知見が大きなきっかけになるからです。

また、学問とは直接関係のないように感じられる「人はなぜ生きるのか」といった哲学的な問いに考えを巡らすことも、物事の本質を見つめ、判断力を養うことに繋がります。教養教育科目を通じて関心を持った事項について、本を読み議論することは、学生だからこそできる学びの原点と言えるでしょう。

そして何より身につけたいのは多様性です。さまざまな専門を志す学生同士の交流、それを促進するコミュニケーション力の育成にこそ、教養教育の大きな価値があります。

本学では、昨年度から教養教育を五福キャンパスで一元化しました。杉谷・高岡両キャンパスからは移動を伴いますが、富山大学生として、どの学部に所属していても多彩な教養教育科目が受けられるようになりました。それにより異なる学部の学生が同じ教室で学べるようにもなったことは本学教養教育の特色と言えるでしょう。

教養教育院では、学生の皆さんが一層交流し、多様な考え方に触れ、異なる意見をまとめる能力を身につけられることを目指し、アクティブラーニング形式の授業を増やしていけるよう、環境整備や教育方法の改善に取り組んでいます。学生の皆さんも積極的に話しかけて貰えたらと思います。

国連では2015年、これからの社会が目指すべき17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットを示した「SDGs(Sustainable Development Goals;持続可能な開発目標)」を採択しました。目標には、貧困や飢餓の根絶、性別や身体的な障害に制約されない平等、クリーンなエネルギーの使用、産業と技術革新の基盤づくりなどが掲げられていますが、共通するキーワードが「多様性」です。これからの社会を生き抜く上でも、教養教育で多様な知見の習得と学生交流を推進して貰えればと願います。